一発屋と言われるバダジェフスカですが、乙女の祈りしか知られてません。ポーランドの女性作曲家の謎に迫ります。

バダジェフスカの音楽の世界

乙女の祈りとは?

「乙女の祈り」という曲をご存知でしょうか?
美しいピアノ曲です。
ピアノ初心者の多くの方が練習する曲としてもよく知られています。
ピアノ発表会の定番曲でもあります。

乙女の祈りの作曲者は?

「乙女の祈り」という曲は、大変よく知られています。
ですが、この作品を作曲したのは誰か?と訊かれると、即答できる人は少ないようです。
「乙女の祈り」を作曲したのは、バダジェフスカというポーランドの女性です。

ポーランド語では「ボンダジェフスカ」と発音します。

ポーランドの作曲家というとショパンがよく知られていますが、バダジェフスカもショパンとほぼ同時代に生きています。
諸説はありますが、27才という若さで亡くなっています。

 

乙女の祈り以外の曲は?

私がはじめて「乙女の祈り」を耳にしたのは、中学時代音楽の授業で先生がピアノで弾いておられたのを聴いたのがきっかけです。
とても美しい曲だと思いました。
先生の説明によると、この曲のみが知られているとのことでした。

しかし、私は思いました。
作曲家なんだから、もっといろいろ曲を作っているだろ?
何故ほかの作品は演奏されないんだ?
演奏する価値がないほどよくない曲なのか?

バダジェフスカは一発屋?

「乙女の祈り」のみが知られているため、バダジェフスカは一発屋と呼ばれることがあるようです。
確かにこれしか知られてないので、一発屋と呼ばれても仕方がないのかもしれません。

しかし、私は、他にもいろいろあるはずだと好奇心をそそられました。
バダジェフスカの「乙女の祈り」以外の曲を聴いてみたい。
また、自分でピアノを演奏もしてみたい!

音源を発見

CDショップに立ち寄ると、偶然バダジェフスカの作品が入ったCDを2種類も見つけることができました。
私はふるえながらCDを手に取り、即購入しました。

こんな曲が入ってました。

乙女の祈り、乙女の感謝、甘き夢、マグダレーナ、マズルカ、天使の夢、エオリアン・ハープ、乙女の祈り第2番、幻影、友愛、田舎小屋の思い出、母の祈り、森のこだま、信仰、希望、愛、かなえられた祈り、ワルツ、黄金のエルサレム、ナイチンゲールの歌、接吻、アレクサンドラ、乙女の恥じらい、乙女の誓い、アグネス、これら美しき鐘

どれも興味深い曲ばかりです。
実際聴いてみたら、どれも美しいです!

ざっと見てみると、タイトルに「乙女」、「祈り」と付けられたものが多いですね。
「乙女の祈り」がヒットしたので、後に続かせようという意図がうかがえます。

注目曲は?

私が注目したのが、「乙女の祈り第2番」「かなえられた祈り」です。
第2番と名付けられた曲は、もう一曲ヒットを狙ってみようという思惑から作曲したものだと思われます。
実際に聴いてみると、美しいです。これも「乙女の祈り」なんだと納得しました。

「かなえられた祈り」はさらによくできた曲だと思います。
「乙女の祈り」のアンサーソングとして作曲されたそうですが、演奏時間も長大なものとなっています。

実際に演奏してみた

バダジェフスカのいろんな曲を聴くことができました。
今度は、実際にピアノで演奏してみたいと思いました。

ここで問題になるのが楽譜探しです。
ショパンと違ってそう簡単に楽譜を手に入れることができません。

それでも一生懸命探しました。
輸入楽譜専門店を渡り歩きました。インターネットを駆使して探しまくりました。

やっと次の楽譜を手に入れることができました。

乙女の祈り、甘き夢、マズルカ、幻影、希望、森のこだま、かなえられた祈り、乙女の祈り第2番、信仰、天使の夢、田舎小屋の思い出

まず弾いてみたいと思ったのが、「乙女の祈り」のアンサーソングとして作曲された「かなえられた祈り」です。
「乙女の祈り」の続編を意識して書かれたのか、かなりダイナミックな構成となっています。
演奏も困難を極めました。人前で演奏できる状態になるまで2年くらいかかりました。

次にチャレンジしたのが、「乙女の祈り第2番」です。
乙女の祈りが2曲もあるなんて!という好奇心から弾いてみたいと思ったのですが、これまた奥が深い。
聴くだけでなく演奏することによって、さらに曲を深く体験することができました。

その後、希望、信仰、田舎小屋の思い出といった曲を練習していきました。

バダジェフスカの作品の特徴

バダジェフスカのいろんな曲を演奏して感じたことがあります。
2パターンに分類されるということです。

「乙女の祈り」を弾かれたことがある方は、よくわかると思いますが、基本的に3つの和音だけで構成されています。
バダジェフスカの作品には、3和音だけで構成されたシンプルなものがたくさんあります。
「乙女の祈り第2番」「かなえられた祈り」「乙女の恥じらい」「田舎小屋の思い出」といった曲は、どれも3和音だけで構成されています。

その一方で、多くの和音が使われたり、途中で転調している曲も結構見受けられます。
「希望」、「信仰」、「幻影」といった曲は、かなり凝った構成となっています。
おそらくはバダジェフスカ晩年の作品だと思われます。

バダジェフスカは27才という若さで亡くなっていますが、短い生涯の間に、確実に作曲技術が向上しているということが感じ取れました。

バダジェフスカの曲を広めていきたい

バダジェフスカの作品を研究すればするほど奥が深いと感じました。
乙女の祈りだけしか知られてないなんて、あまりにももったいない話です。

私は結構人前でピアノを演奏する機会があります。
なるべくバダジェフスカの作品を選曲して演奏するように努めます。

そして、バダジェフスカの音楽のすばらしさを理解していただきたいと思っています。

バダジェフスカ風の作品を試作してみた

バダジェフスカの初期の作品は、基本的に3和音だけで構成されています。
シンプルでありながらとても素晴らしい曲ができるということをバダジェフスカは証明してくれました。

ならば、私も3和音だけで曲を作ってみよう。
バダジェフスカに習って3和音だけで美しい曲を作ってみよう。

自由研究として1曲試作してみました。

この試作曲は、2019年9月2日にNHKラジオ「すっぴん!」という番組で放送していただきました。

 

まとめ

乙女の祈りは、日本では広く慕われているピアノ曲です。
ピアノ初心者の方でも演奏可能です。

しかし、乙女の祈りの作曲者は?と訊かれて即答できる人は少ないです。
バダジェフスカというポーランドの女性作曲家です。

戦争の影響で、多くの資料が失われています
バダジェフスカについての詳しいことはわかっていません。

ところで、「乙女の祈り」はよく知られていますが、それ以外にも多くの作品を残しています。
タイトルに「乙女」や「祈り」がついたものが多く、次のヒットを狙ったのではないかと伺うことができます。

乙女の祈りが基本3和音だけで構成されていますが、このようなシンプルな構成の曲が多いのが特徴です。
しかし、中には凝った構成で作曲された作品もあります。

バダジェフスカは、若くして亡くなっていますが、短い生涯で確実に作曲技法を上達させていったのだと考えることもできると思います。

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